セーラー服の少女


  昭和50年8月13日(水)、私と友人2人はその日伊豆の別荘に遊びに行っていて、友人の
 「O野氏」が、その日原動機付自転車運転免許証の交付の日だったので、伊豆からわざわざ
 東京都品川区の「鮫洲」まで免許証を受け取りに行くと言うので、朝8時に起きて朝食を食 
 べ、東海道本線の「三島駅」まで「O野氏」を送りに行く時の事です。
  
  午前9時40分頃、土肥町から国道136号線で船原峠を登って行って、まもなく頂上という 
 所に、ドライブ・インで「風林火山」と言うのがあるのですが、その手前にややきつめの左カー
 ブがあり、そのカーブにいたる直線部分に差し掛かったとき、左カーブの頂点の外側に、夏 
 用の白の半ソデのセーラー服を着た女の子が後ろ向きに立っているのが見えました。
  その時の私達3人は、私と「O野氏」は高校3年生で、車の運転をしている者は大学3年生
 の、彼女のいない正真正銘の独身だったし、かなり遊びまくっていた時だったのでそのセーラ
 ー服姿の女の子に目が釘付けになってしまいました。
  そしてその女の子はそれくらいスタイルが良かったのです。
  いま思い出すと、とても不思議なのですが、左カーブに差し掛かるまでの距離は、直線に 
 なってからでもせいぜい200メートル位なもので、それよりももっと少ない距離かも知れない
 のですが、カーブの頂点までは車ですから40キロで走っていたとしても、掛かって20秒もあ
 ればその頂点の部分に来てしまいます。
  でもその時は1〜2分位時間が掛かっていたような感じがするのです。
  女の子は後ろ向きで、左肩にアゴを乗せていて、左ヒザの所に、左手を、その左手の手の
 甲の所に右手の平を重ねて置いていました。
  髪の毛は肩口の所までの長さでした。
  また、その髪の毛で女の子の顔は見えませんでした。
  白の半ソデのセーラー服に紺色のリボン、紺色のスカートに白い折り巻いたソックスがとて
 も印象的で、夏の陽光の中にひときわ鮮やかに浮き出ていました。
  しかしその時はなぜこんな山の中に人家もないのに女の子が、しかもセーラー服を着てい
 るくらいですから高校生か中学生でしょう、そんな若い女の子が居るのだろう?などという事
 は頭に思い浮かばなかったのです。
  車は徐々に(本当に徐々にという感じなのです)女の子に近づきます。
  女の子はまるで私達3人が乗った車には全然気が付かないか、または気にも留めていな 
 いような感じで、後ろ向きで立ったままです。
  車が女の子まであと2〜30メートルと言うところで、やっと女の子がこちらに気付いたと言う
 感じで、それでも、どんな車なのかな?、と言う感じでこちらに顔を向けました。
  しかしその顔の向け方がちょっと普通ではないのです。
  と言うのは、女の子は後ろ向きで立っていたし、アゴを左肩に乗せていたのだから、体ごと
 こちらを向くはずなのに、顔だけをこちらに向けたのです。
  しかも左向きの顔をそのままもっと左に向けて。
  その時の私達の感じでは、顔の中心線が背筋とほぼ同じ位まで顔だけを後ろ向きにして私
 達3人を見つめていました。
  私達は、何か見てはいけないようなものを見てしまったという罪悪感のような後悔のような 
 恐怖感のような、そんな不思議な感じに捕らわれました。
  しかしすぐに恐怖と驚愕の入り交じった感覚になりました。
  車を運転している先輩は、何度もその道を運転し慣れている事もあって、カーブなりに曲が
 れたので事故にはなりませんでしたが、3人ともその女の子の顔から、と言うか、女の子の目
 から目が離せなかったのです。
  と言うのも、その女の子の顔というのが、まるで表情というのものが無いのです。
  表情が無いと言えば嘘になります。
  私達3人はその女の子がニヤッと笑っていると感じたのですから。
  女の子の顔立ちはと言うと、まるで、昔流行った、あのピースマーク(ニコチャンマーク)の 
 顔、あれを細面にして、目を逆三角にしたと言えば感じがつかめると思います。
  そしてその目というのが白目だけなのです。
  白目だけなのにこちらを見つめている、というのが分かるのです。
  そして口は、朝の夏の光の中で、ポッカリと開いた穴のように陽と陰、と言うか、明暗がハッ
 キリとしていて、普通ニヤッとでもすれば歯が白く見えるのに、真っ暗と言うか、真っ黒なので
 す。
  女の子の体はずっとそのままでした。首だけが、と言うか、顔だけを車の動きに合わせてこ
 ちらに向け続けています。
  私達3人の体は硬直してしまって、顔だけを女の子に向けています。
  車が動いているので、顔が向けられなくなると、今度は目で女の子を追い掛けます。
  ずっと女の子とは目が合ったままです。
  やっと、そう、やっとという感じで女の子が3人の視界から消えました。
  本当であれば時間にして2〜3秒、掛かっても、10秒位でしょう。
  しかし私達には5〜6分も経っているような感じてした。
  女の子の居た場所からかなり離れるまで私達3人は無言のままでした。
  車の中は重苦しい雰囲気で満ち溢れていました。
  修善寺の町の近くに来るまでだれ一人として喋る者は居ませんでした。
  やっと口を開いたのは車の運転手でした。
  「ねェ、さっきの女の子さァ、ちょっと、・・・・変、じゃ、なかった・・・?」
  聞き方も自信が無い、と言った聞き方です。私も「O野氏」も、
  「うん。変、・・・・だっ・・・た。」
 と言う、答え方でした。

  東海道本線の「三島駅」前に着きました。
  私達3人は、東京行きの電車の出発時間までには少々時間があるので駅前の喫茶店に入
 りました。
  そこでアイスコーヒーを飲みながら、さっきの女の子の姿を、相談なしで「絵」に描いてみよ
 うということになり、さっそく「絵」に描いてみました。
  結果は、3人とも同じ「絵」でした。
  それで自分の見間違いでは無いという事をお互いに確認し合ったのです。
  時間が来て、「O野氏」は東京へ運転免許証を受け取りに行きました。
  残った2人は、別荘へ帰らなければなりません。
  しかし帰るためには途中、どうしてもあの場所を通らなければなりません。
  でも、どうしても同じ道を通る気にはなれず、わざわざ「下田市」を通る遠回りの道を選び、
 別荘へ帰ったのです。
  「O野氏」は6時間位しなければ、「三島駅」には着きません。
  別荘で一休みをして、夕方少し前に別荘を出て、
  「三島駅」まで「O野氏」を迎えに行きました。
  その時も「下田市」回りでした。
  「三島駅」で「O野氏」を出迎え、いよいよ別荘へ向かいます。
  この時は3人なので、例の「船原峠」を通ることにしました。
  峠の頂上を過ぎる頃から車内は無言になりました。
  問題の現場はまもなくです。
  私達3人はかなり緊張していました。
  峠はもう日も暮れて、そこここに夜の闇が忍び寄っています。
  車は少し前からヘッドライトを点灯しています。
  木の陰や、物陰に潜む夜の闇をヘッドライトが切り裂きます。
  現場は何事も無く通り過ぎました。
  別荘に着いてから朝の出来事について又話し合いました。
  しかし結論の出るわけはなく、
  「幽霊」や「霊体」と素人が判断出来る訳が無いので、
  「本当に不思議な怖い体験」という事に我々3人は話をまとめています。



『続 セーラー服の少女』 

  はじめまして。
  インターネットを始めて1年ぐらいで、「CHAT?」「何だ、それ?」
 「ISDN?」「何だ、それ?」状態の初心者です。
  その42「セーラー服の少女」について、ぜひ、お知らせしておきたいことがありましたので、
 初めてのことなのですが投稿と云うのをさせていただきます。

  私は、「その42」の話しに出てくる三島市に住んでいます。
  ですから、伊豆半島のこともよく分かっています。
  セーラー服の少女を見たと言う場所もだいたい分かります。
  投稿者が三島駅まで行っての帰り道、怖くて下田を廻って帰ったと云うのは少し変です。
  別荘を持つ人(本人か友達かは分かりませんが・・・)ならば多少は道路の状況も分かるハ
 ズです。
  船原峠を越えて三島に行くのならば別荘は土肥か松崎あたりにあるのでしょう。
  どちらにせよ、下田を廻らず反対方向の大瀬崎か戸田村に出て南に下る方がだいぶ早い
 ハズです。
  でも、その話を読んだ時は地元の地名が出てくるのでおもしろく、また、怪談話というのは 
 そんなものだ、と思って読みました。

  少し前の話です。
  友達が車を運転して私が助手席で土肥町に遊びに行った帰りのことです。
  「その42」に出てきた道路を通って船原峠を越えて修善寺に抜けようとしていました。
  今はつぶれて営業していませんが、もう少し走ると「風林火山」に着くという曲がりくねった 
 道でセーラー服を着た高校生とすれ違いました。
  友達は「あれ、あの子どこから歩いてきたのかなぁ〜?」
  「今のどこ(の高校)?」
 とつぶやくように聞いてきました。
  私も友達も地元だから分かっています。
  重登山の服装でもしていたら不思議には思いませんが、セーラー服を着て歩くような場所で
 はないんです。
  バスは通っていません。
  一番近くのバス停まで歩いても半日で着くかどうか、
  セーラー服もこの地域の制服ではありません。
  地元の人間だから分かるんです。
  その場所をセーラー服を着て歩いていることが、どれだけ不自然なことか・・・。
  私は友達の問いに「何だろうね〜?」と答えましたが、頭の中でこの話を思い出していまし 
 た。
  その話のことは記憶にありましたが、どのHPで読んだのか覚えていませんでした。
  しばらく、気になってあちらこちらのHPを探していました。
  今日、やっと見つけました。
  やはり、あの場所のようです。
  やはり、あの高校生のようです。
  私が会ったときは道路の脇を普通に歩いていました。
  怖い話ですが、それが少しは救いになっています。

  では・・・また・・・。


  



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