亀石峠の少年



  深夜仕事を終えた男が、クルマを飛ばして伊豆スカを家路へ急いでいた。 
  街灯もない道を亀石峠付近に差し掛かった頃、前方右側に人影が見え疑問に思った 
  男は減速し停止した。 
  すると人影はランニングシャツ姿の男の子で、道の右側からゆっくりとクルマの前を 
 横断してきた。 
  「こんな時間にこの子は・・・」と思ったのと男の子がクルマの丁度前に来たのが同時くら  
 い。 
  横顔しか見えなかった男の子は、突然クルマの前で男の方へ向き直った。 
  その顔は、「ぐちゃぐちゃと言うか、のっぺらぼうと言うか、子ども特有の真っ赤な 
 唇だけが目立つものだった」男談。 
  数秒の間、その不気味な男の子は男性に何かを訴えるかのようにその真っ赤な口を 
 パクパクさせてなにかを喋った。
  しかし動転していたせいもあって男性には、なにを言っているのか聴き取ることはできなか
 った。 
  訴えが受け入れられずがっかりしたように男の子はまた横を向き、道の左側の藪に消えて
 いった。 
  男性は気を取り直し、クルマの外に出て確認すると・・ 
  少年の出てきた右側は崖、左側は鬱蒼とした林で人の通れるようなところではなかった。 

  近隣の町で数年前神隠しの行方不明事件があり、その被害者の少年ではないか。という 
 噂が起こった。きっとその辺りに埋められている、とも。 
  これが亀石の噂のひとつ、20数年前にテレビでも取り上げられました。
    



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